グラフィックデザインの世界では、独自の専門用語が数多く使われています。デザインの基礎を理解し、スムーズに作業を進めるためにも、これらの用語を正確に押さえておくことが重要です。今回の記事では、デザイン初心者やキャリアを始めたばかりの方に向けて、覚えておきたい基本的なグラフィックデザイン用語をわかりやすく解説します。
デザインの知識を深める第一歩として、ぜひ参考にしてみてください!
目次
画像処理
画像処理(Image Processing)は、デジタル画像を編集・修正する技術で、次のような作業が含まれます。
- 明るさ・コントラスト調整: 画像の明るさやコントラストを変更し、見やすさや視覚的なインパクトを向上させます。
- 色調整: 色相、彩度、明度を調整して、色のバランスや全体的なトーンを変えます。
- 合成: 複数の画像を組み合わせて、新しい画像を作成します。これにはレイヤーの統合や透明度の調整が含まれます。
- 修正: 不要な部分の削除や、欠損部分の修正を行います。これにはクローンツールや修復ツールを使うことが多いです。
- 変形: 画像のサイズや形を変えたり、特定の部分を歪めたりする作業です。例えば、パースの調整や画像のトリミングが含まれます。
- エフェクトの追加: フィルターや特殊効果を適用して、画像に特定のビジュアルスタイルを加えます。
これらの処理により、画像の品質や視覚的な魅力を高めたり、特定の用途に合わせて調整したりすることができます。
コンテンツ
コンテンツ(Content)は、情報を伝えるために用いるさまざまな素材を指します。具体的には以下のようなものがあります。
- テキスト: 書かれた文章や言葉。記事、ブログ投稿、説明文など。
- 画像: 写真、イラスト、グラフィックなどの視覚的素材。
- 音声: ポッドキャスト、音楽、ナレーションなどの音響素材。
- 動画: 映像、アニメーション、ビデオクリップなどの動的素材。
コンテンツは、出版物、ウェブサイト、テレビ、ソーシャルメディアなど、さまざまなメディアで使用され、情報を効果的に伝えるために設計されます。
CMYK
CMYKは、印刷業界で使用されるカラーモデルで、以下の4つのインクで色を再現します。
- C(Cyan):シアン
- M(Magenta):マゼンタ
- Y(Yellow):イエロー
- K(Key):キー(通常は黒)
ストックフォト
ストックフォト(Stock Photo): ストックフォトは、お金を払って使える写真や画像のことです。
広告や印刷、出版など、いろんな場面で必要な写真を簡単に手に入れられるようにします。
特定のテーマに合った写真が欲しいときに便利です。
著作権
著作権(Copyright): 著作権は、作った人の作品を守るための法律です。
この法律により、作品をコピーしたり、配ったり、他の人に見せたりする権利が作った人に与えられます。
著作権は大きく分けて、著作者の名前を表示したり作品を変えずに保ったりする権利と、作品をコピーしたり貸し出したり翻訳したりする権利があります。
これらの権利は、その作品を作った人が生きている間と亡くなってから50年間守られます。
会社が発表した作品も、発表から50年間保護されます。
肖像権
肖像権(Portrait Rights): 肖像権は、他の人があなたの顔や姿を勝手に撮ったり使ったりしないようにするための権利です。
たとえば、写真やビデオであなたの姿を使うときには、あなたの許可が必要です。
この権利は、誰でも心地よくプライバシーを守って生活できるようにするためのものです。
また、あなたの顔や姿を商業目的で使う特別な権利は「パブリシティ権」と呼ばれます。
データー入稿
データ入稿(Data Submission): データ入稿は、印刷物やデジタルメディアのために必要なデータを送ることです。
昔は印刷のために実物の原稿やフィルムを渡していましたが、今ではコンピュータで作ったデジタルデータを使うことが多くなっています。
指定されたフォーマットや形式に従ってデータを提出するのが普通です。
解像度
解像度(Resolution): 解像度は、画像や印刷物がどれだけ詳しく表示されるかを表す尺度です。
通常、これはピクセルの数やドットの数で示されます。解像度が高いと、画像が細かくてきれいになります。
一方、解像度が低いと、画像がぼんやりしたり、ドットのギザギザが見えたりします。
JPEG(ジェーペグ)
JPEG(ジェーペグ): JPEGは写真や画像を圧縮して保存する形式の一つです。ファイルサイズを小さくできるので、ウェブでよく使われていますが、一部の画質が失われることがあります。
GIF(ジフ)
GIF(ジフ): GIFは、短いアニメーションや単純なイラストに適した画像形式です。最大256色をサポートしており、背景を透明にすることもできます。
PNG(ピング)
PNG(ピング): PNGは高画質の画像を保存するための形式で、写真やイラストの画質を保ちながら、透明な背景を扱えます。圧縮しても画質を失わないのが特徴です。
WEBP(ウェブピー)
WEBPは、画像フォーマットで、Googleが開発しました。主にウェブ用に設計され、ファイルサイズを小さく保ちながら高品質の画像を提供します。
PSD(ピーエスディー)
PSD(ピーエスディー): PSDはAdobe Photoshopで使われるファイル形式で、レイヤーや編集情報を保存できます。
画像編集を途中で中断しても、後から再編集が可能です。
PDF(ピーディーエフ)
PDF(ピーディーエフ): PDFは文書を安全にやり取りするためのフォーマットです。
テキスト、画像、リンクなどを組み込め、どんなデバイスでも同じように表示できるのが特徴です。
AI(エーアイ)
AI(エーアイ): AIは、Adobe Systems社が開発したグラフィックスソフト「Adobe Illustrator」によって生成されるファイル形式の拡張子です。
Adobe Illustratorは、特に印刷用のデータを作成する際に使用される、世界的に広く使われている標準的なグラフィックソフトです。
AI形式のファイルは、ベクターグラフィックスを扱うため、デザインの拡大縮小をしても品質が損なわれません。
アイキャッチ
アイキャッチ【Eyecatch】: アイキャッチとは、人々の注意を引くためにデザインされた視覚的要素のことです。
特にグラフィックデザインでは、印象的なタイトルや画像をレイアウトの目立つ位置に配置することが多く、注目されたり情報が効果的に伝わるようにします。
ウェブページや広告などで、情報を強調するためによく使われます。
アイコン
アイコン【Icon】: アイコンとは、グラフィックデザインにおいて、小さな絵やシンボルのことです。
特定の機能、アプリケーション、または概念を視覚的に表現するために使われます。
アイコンは、ユーザーがメニューやツールを直感的に見つけられるように設計されており、シンプルで認識しやすいデザインが求められます。
コンピュータやスマホのインターフェイスで、どこに何があるかを理解しやすくし、操作をスムーズにする役割があります。
ピクトグラム
ピクトグラムは、情報や指示を視覚的に簡潔に伝えるためのアイコンやシンボルです。
言葉を使わずに理解できるようにデザインされています。
視覚的なコミュニケーションを助け、特に多言語環境や公共の場での情報伝達に役立ちます。
あしらい
あしらいは、デザインや装飾で使われる小さな要素やモチーフのことです。
主に背景を飾ったり、全体のデザインを引き締めたりするために使われ、視覚的なバランスを整える役割を果たします。
やり過ぎると、伝えたい内容がボヤけるので注意が必要。
アタリ
デザインの途中で使う仮の画像やイラスト。後で本物のデザインに差し替えるまでのスペースを確保するために使用します。
イキ
「生き」そのまま残しておくという意味で使われます。デザインの指示で、「こちらは残して、この部分は削除する」というときに用います。
帯/下帯/上帯
デザインの左右の端から端まで色を敷く場合を「帯を敷く」といいます。
デザインの上部にある色を「上帯」、下部にあるものを「下帯」と呼びます。
ガショリ/ガショる
画像を処理することを指します。
画像を合体させたり、サイズを変えたりして修正することを意味し、レタッチと同義です。
カンプ
クライアントにデザインの完成形がどうなるかを見せるためのプリント。
提案段階で使用される見本です。
キービジュアル
プロジェクトやキャンペーンの核となるデザイン。
これが決まった後、関連する媒体にもこのデザインを適用していきます。
金赤(キンアカ)
印刷で使われる色の一種で、CMYKで「マゼンタ100%・イエロー100%」で表現される赤のことを指します。
グラデーション
色が一つから別の色に徐々に変わっていく様子を表します。
直線的に色が変わるものや、円形に中心から外側に向かって色が変わるものがあります。
グリッド
規則的に配置された網状のフレーム。デザイン要素を整然と配置することで、見やすいデザインになります。
コピペ
コピー&ペーストの略称で、データやデザイン要素を複製して貼り付けることを指します。グラフィックデザイン以外でも色々な場所で使われる言葉です。
コンセプト
デザイン全体の基本となる考え方やテーマ。明確なコンセプトを設定することで、一貫したデザインを実現します。
コントラスト
デザイン要素間の違いを示すもの。明暗や色の濃淡などが代表的な例で、視覚的な差を作り出します。
サムネイル
デザイン案をざっくりと描いた小さなスケッチ。省略して「サムネ」とも言われます。
シズル
シズルとは、もともとステーキなどを焼くときに出る「ジュージュー」という音を表す英語です。
この言葉は、視覚的に食欲を引き立てる食べ物や飲み物の写真を指すようになりました。
料理撮影では、シズル感を演出するために様々なテクニックが使われ、見た人に美味しそうだと感じさせることを目的とします。
白抜き
背景の色の上に載せた文字や装飾を白色にすること背景の色の上に載せた文字や装飾を白色にすること。
印刷上の技術では背景の色がそのまま白として表現されます。
ジャンプ率
デザインで、一番大きな文字と一番小さな文字のサイズ比を指します。
高いジャンプ率はダイナミックな印象、低いジャンプ率は落ち着いた印象を与えます。
シンメトリー/アシンメトリー
シンメトリーは左右対称、アシンメトリーは左右非対称を意味します。
スミカゲ
文字に影を付けることで、立体感を出す手法です。
印刷業界では、黒のことを「スミ」と呼びます。
注意書き/約款
デザインの下部などに小さな文字で書かれる情報。
この部分には、掲載内容に関する注意点や補足情報、アレルギー情報、金銭に関わる事項などが記載され、クレームを防ぐ役割があります。
類似するものとして、保険契約書の「約款」があります。
テクスチャ
テクスチャは、表面の質感を表現するための要素です。
デザインでは背景に和紙や布のような質感を追加して、視覚的な深みを持たせることができます。
天地
印刷用語で、印刷物の上部を「天」、下部を「地」と呼びます。
デザインや印刷物の高さを指して「天地」と言うことが一般的です。
トル/トリ
「削除」を意味します。
デザインの修正指示や文字校正の際に、赤ペンで「←トリ」などと書かれます。
トンマナ
デザインに一貫性を持たせるための用語です。
色や文字のスタイルなどに統一感がないとき、「トンマナをあわせて下さい」と指示されます。
ビビッド
鮮やかな色や映像を指します。
原色に近い非常に明るい色に使われます。
反対の概念は「ペール【Pale】」で、淡い色を示します。
「パステルカラー」はその中間の色合いです。
フォント
書体のことです。
文章やデザインに使用する文字のスタイルを指します。
袋文字
文字の装飾方法の一種で、文字の輪郭線が描かれたスタイルを指します。
ベタ
CMYKのどれかの数値が100%の色、またはそれを組み合わせた色を指します。
単色で塗りつぶす場合にも「ベタ1色」と呼びます。
マド
デザインにおいて、罫線で囲んでできた四角形のスペースを作ることです。
たとえば、白いスペースに黒い罫線を引いた場合、「白マドスミケイ」と言います。
ラフデザイン
大まかなデザイン案です。
大まかな方向性を決めるために使用され、最終的なデザインに近いイメージになります。
「ラフ案」とも呼ばれます。
ワイプ
本来は、元の画像を「拭き取る」ように次の画像が入ってくる映像技術が元。
今では、メインの画面の一部分に小窓のような別画面がある事を「ワイプ」と呼びます。
まとめ
グラフィックデザインの基本的な用語を理解することは、デザインプロジェクトをスムーズに進めるために非常に大切です。このブログでは、クライアントの皆様に向けて「解像度」「グリッド」「アイキャッチ」など、日常的に使われるデザイン用語をわかりやすく解説しています。これらの知識があることで、デザイナーとのコミュニケーションがよりスムーズになり、成果物のクオリティや効率的な進行にもつながります。用語を押さえることで、デザインの意図を理解し、より効果的な提案やフィードバックができるようになるでしょう。
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